清春芸術村にある建物
「清春芸術村」は、武者小路実篤や志賀直哉を始めとする白樺派同人による美術館構想を、親交のあった吉井画廊社長(当時)の吉井長三が私財を投じて実現した。吉井氏が、旧北巨摩郡長坂町の清春小学校跡地を買い取り、1980年4月に「清春アートコロニー」、翌年の1981年にアトリエ「ラ・リューシュ」を建設。その後も美術館関連施設を順次建設及び移築、2003年には、「白樺図書館」が開館した。吉井氏の依頼により、「清春芸術村」の基本設計は建築家の「谷口吉郎」が担当し、彼の死後は、息子「谷口吉生」が引き継ぎ、「清春白樺美術館」や「ルオー礼拝堂」の設計を担当した。
「清春白樺美術館」の入り口外観であるが、廻りに白樺の木が栗林している。この美術館には、「梅原龍三郎」や「岸田劉生」などの作品の展示はあるが、その他に吉井氏が建設した多くの建物がある。
若き日の「シャガール」や「モジリアニ」など巨匠を生んだアトリエ兼住居として現在もパリの記念建築とされているものと同様の「ギュスターブ・エッフェル」の建築で、もとは1900年に開催された「パリ万国博覧会のパビリオン」に使用されていたもので、老朽化により取り壊しが決定された際、吉井氏が買い取り日本に移築しようとしたところ、パリでの保存が決定したため、設計図を買いとりまったく同じものを1981年に再現した建物である。
その他に、建築家「吉田五十八」が設計した「梅原龍三郎」のアトリエがある。
奔放自在な画風で日本の油彩画を確立した画家「梅原龍三郎のアトリエ」を東京新宿より移築したもので、梅原氏が好んだ紅殻色の京壁や床間などを取り入れた24畳のアトリエには、使用していたイーゼルやパレット、絵具箱のほか、製作途中の絵画なども含め、「梅原龍三郎」の愛用品から作品までが展示されています。
他に、「白樺美術館」を設計した建築家「谷口吉生」の設計した「ル・オー礼拝堂」がある。
20世紀最高の宗教画家である「ジョルジュ・ルオー」を記念して建てられた礼拝堂で、入口の扉の上のステンドグラス「ブーケ」や祭壇背後のキリスト像は、ルオー自身が制作・彩色したもので、ルオーの次女イザベル・ルオーからそれらを贈られたことをきっかけにつくった礼拝堂でもあります。堂内の壁面にはルオーの銅版画「ミセレーレ」が掲げられ、宗教や信仰とは関係なく、この村を訪れる芸術家たちの瞑想の場にもなっている。
他に、建築家「藤森照信」が設計した「茶室〈徹〉」があります。
この茶室は、2006年に完成した。茶室を支える檜は、清春芸術村に植わっていた樹齢八十年の檜を使い、建設にあたっては、縄文建築団のメンバーや「赤瀬川源平」、「南伸坊」、「林丈二」氏らが力を合わせつくり上げました。高さは地上約4メートル、室内は1.7坪。
最後に、2011年に完成した建築家「安藤忠雄」が設計した「光の美術館」あります。
この教会は、自然光のみの美術館で、一切の人口照明がない展示室であり、四季や天気、そして昇りまた沈む陽の動きによって刻一刻と変化する光の中に身をおくことになります。無機質なコンクリートの空間に差し込む光の美しさを最大限に使った、「安藤忠雄」ならではの建築と言えるでしょう。展示アーティストはアントニ・クラーベで、ピカソの後継者と謳われた逸材です。
この美術館へは、新宿から中央線で、小渕沢駅下車で、駅からほど近いところにあります。
INFORMATION利用案内
開館時間
清春芸術村・清春白樺美術館:午前10時-午後5時(入館は4時30分まで)
光の美術館:午前10時―午後5時
休館日
年末年始(2016年12月26日~2017年1月1日)・月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
入館料(団体料金は20名以上より)
清春芸術村入場料(白樺美術館・光の美術館入館料含む)
一般 1500円(1400円)
大高生1000円(900円)
*()内は20名以上の団体料金
小中学生入場無料
今回は、「清春芸術村」HP、「ブルータスCasa 日本の美術館ベスト100ガイド」を参考に紹介しました。
☆参考