建築が気になる世界のデザイン美術館Ⅰ
「エル・デコラ」2018年6月号に「建築もお目当てに!世界のデザイン美術館」の特集記事から、建築を中心に世界のデザイン美術館を紹介いたします。
最初は、アフリカ、ケープタウンに完成した「ツァイツ・アフリカ現代美術館」から紹介します。
1、「ツァイツ・アフリカ現代美術館」トーマス・ヘザーウィック 2017年
※「トマス・ヘザーウィック」は、イギリス、ロンドンに1970年に生まれ、「マンチェスター工科大学」、「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」で3Dデザインを学び、1994年に「ヘザウィックスタジオ」を設立した。
1924年に建てられた高さ33mの穀物サイロと隣接するエレベータービルを、歴史的な意義に配慮しながらリノベーションをした。
既存の穀物サイロの内部を抉り取ったように切断撤去して出来た断面の模様が不思議な空間をつくり出している。
次は、アラブ首長国連邦の首都アビダビのサディヤット島に建てられた「ルーヴル・アビダビ」を紹介します。
2、「ルーヴル・アビダビ」 ジャン・ヌーヴェル 2017年
※「ジャン・ヌーヴェル」は、1945年にフランスの南西部フュメルで生まれ、1966年からパリの「エコール・デ・ボザール」で建築を学び、その傍ら、1970年に事務所を設立して設計活動に入った。1972年に「エコール・デ・ボザール」を卒業した。
「ルーヴル・アビダビ」は、「ルーブル美術館」初の海外別館として建てられた。
群島のように浮かぶ白いパビリオンの上に載せられた、直径180mのスティール製のドームは、アラビア風のアラベスク模様を描きながら、その下に風の通り抜ける快適な環境を生み出している。
23の常設ギャラリーや子ども博物館などからなる白い建物群の上にドームの屋根が覆い、ランダムな光によって様々な形、大きさの光模様が写しだされ、不思議な空間を醸し出している。水面に浮かんでいるような音楽ホールやレストランなどもある。
次は、モロッコ中央部の都市マラケシュに建てられた「イヴ・サンローラン美術館マラケシュ」を紹介します。
3、イヴ・サンローラン美術館 マラケシュ スタジオ・コー 2017年
「イヴ・サンローラン美術館マラケシュ」は、イヴ・サンローランが所有する「マジョレル庭園」に隣接して建っている。この「マジョレル庭園」は、1920年代にフランス人画家の「ジャック・マジョレル」が造園し、植物収集家でもあった彼は、世界各地から植物を取り寄せて、異国情緒あふれる空間を造り上げた。
※フランスの若手建築家デュオ「スタジオ・コー」は、「スクールオブファインアーツ」で学んだ「カール・フーニエ」と「オリヴィエ・マーティ」の二人で設立したスタジオである。
モロッコの日干しレンガをレースのように組み、モダニズム的な直線と曲線を組み合わせた建物は、周囲の風景に溶け込みつつ、エレガントな存在感を放っている。
次は、エジプト、キザに、建設中の「大エジプト博物館」を紹介します。
4、大エジプト博物館 ヘネガン・ペン・アーキテクツ 2019年オープン予定
「大エジプト博物館」は、三大ピラミッドが鎮座するエジプト・ギザ地区に、2018年末に完成する世界最大の延床面積9万㎡の面積規模の考古博物館である。
※「ヘネガン・ペン・アーキテクツ」は、1999年にニューヨークの「シンフー・ペン」と「ロッシン・ヘネハン」によって設立され、2001年にアイルランド、ダブリンに事務所を開設した。
砂漠と高原の高低差を利用した建物の外壁には、光を透過する石材を使用し、ピラミッドの三角形がデザインの随所に取り入れられている。
次は、日本の温泉地として有名な大分県湯布院町に建てられた「コミコアートミュージアムユフイン」を紹介します。
2017年に完成した「コミコアートミュージアムユフイン」は、「村上隆」や「杉本博司」の現代美術作品を展示する美術館である。
※「隈研吾」は、1954年神奈川県横浜市に生まれ、1973年に東京大学工学部建築学科に入学し、1977年に卒業、東京大学大学院建築意匠専攻修士課程を修了した。卒業後、日本設計、戸田建設、コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員を経て、1990年に「隈研吾建築都市設計事務所」を設立した。
建物の廻りの由布岳や周囲の環境を際立たせるべく、外壁には焼き杉が使われている。
水盤を介して二つの展示空間が向き合うように配置されている。奥の展示室と手前の展示室の2室である。
今回は、1から5までの5件の建築を紹介しました。
今回は、「エル・デコ・2018.6」、「カーサ・ブルータス」、各美術館HP他を参考に紹介しました。
☆参考
○ジャン・ヌーヴェル
○Ja109隈研吾特集
○場所言論Ⅱ隈研吾
○ペン奇跡の建築