エルディション

エルディションとは、博学の意味ですが、雑学程度の情報の紹介

有名建築家による霊園建築

今回は、「エル・デコ」2017年12月号に記載されていた「デイビッド・チッパーフィールド」が設計した「猪名川霊園礼拝堂休憩棟」を紹介いたします。

1、「猪名川霊園礼拝堂休憩棟」

2017年に、兵庫県川辺郡猪名川町に「デイビッド・チッパーフィールド」が設計した「猪名川霊園礼拝堂休憩棟」が完成した。

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彼は、 「できるだけ一つのマテリアル、一つの材質で全体をつくろうと考え、カラーコンクリートを採用し」、「天然素材に見える色を追求したら、このような色合い(薄い赤褐色)に落ち着いた」。そして、「仕上げとしては意図的に生々しさ、粗削りなところを残していくようなつくり方を心がけ」た。述べている。その結果、モダンでありながら周囲の自然と調和し、精神性を感じさせる「一つの岩の塊」のような建築が実現した。

※「デヴィッド・チッパーフィールド」の正式な名前は、「サー・デヴィッド・アラン・チッパーフィールド」で、1953年にイギリスはロンドンに生まれた。建築を「キングストンポリテクニック」で学んだ後に、イギリスの名門建築学校「AAスクール(英国建築協会付属建築学校)」に入学し、1977年に同校を卒業した。1978年から、「リチャード・ロジャース」や「ノーマン・フォスター」らのもとで1988年まで働いた。1989年には、「デヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツ」を設立した。1986年から、ハーバード大学、ロンドン王立芸術大学グラーツ大学、ナポリ大学などにの客員教授を務める。

この「礼拝堂と休憩棟」は、ここを訪れる人々を祈りのための静かな空間へ誘う場所として設計されています。

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「キー・オペレーション」HPより

道路の真正面に、山の中央階段の延長線上に「納骨堂」があり、その手前に来園者の祈りと休憩のための空間を中庭を取り囲むように配してある。来園者は、屋外のアプローチ、つまり道路から、中央の大きな開口部をくぐって、この空間に入って行く。

 

この「猪名川霊園」の建主である「公益財団法人 墓園普及会」は、埼玉県所沢市にも「狭山湖畔霊園」を持っている。

2、狭山湖畔霊園の「狭山の森礼拝堂」と「管理休憩棟」

埼玉県所沢市狭山にある「狭山湖畔霊園」に、建築家「中村拓志」の設計で、2014年に完成したのが「狭山の森礼拝堂」である。

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彼は、「 人が祈ると同時に建築も祈るような一体感を意図して、2本の柱を互いに立て掛け合う扠首(さす)構造に」することで、「より純粋で、新しい合掌形式を実現しました。」「また屋根を覆うのは」、「大きさ180×200ミリ、厚さ4ミリのアルミ鋳物で」、「手曲げするために」製造に困難を極めた。「手作りされた各板は1枚ごとに流痕が異なり、独特の味わいを見せて」いると述べている。

※「中村拓志」は、 1974年に東京生まれ、1999年に「明治大学大学院理工学研究科博士前期課程」を修了し、同年「隈研吾建築都市設計事務所」に入所し、2002年には、「NAP建築設計事務所」を設立した。

中村拓志」による「管理休憩棟」が、2013年に完成した。

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「 この霊園の特徴は、周辺の森と山々のランドスケープの美しさ」にあり、「これを壊さないように、低く抑えた平屋の建物」を提案して、「内部空間で豊かな緑や自然を体感できる」ように、「木や石、水と光といった普遍的な要素で空間を構成する」ようにした。「お客様の気持ちに寄り添う」ように、「あえて穏やかで伏せ目がちな建築」にしたと述べている。

今回は、「エル・デコ」、「公益財団法人 墓園普及会」HP他を参考に紹介しました。

☆参考

○「エル・デコ」2017年12月号

 

○デヴィッド・チッパーフィールド

中村拓志