オリヴァー・グスタフの空間スタイル
今回は、「エル・デコ」2018年8月の「オリヴァー・グスタフが描く、新次元スタイル」から、彼が、コペンハーゲンに新たに拠点として選んだ1920年代竣工の新古典様式の建物を、ショールームとしてリノベーションするにあたり、デンマークの画家、「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」の絵画にインスパイアされて、静謐な空間をイメージして実施した。そのイメージ空間に、歴史的なマスターピースや現代の逸品をおいてスタイリングして、ショールームにした。
※「オリヴァ―・グスタフ」は、デンマークのコペンハーゲンとアメリカのニューヨークにスタジオがあり、ショップなどのインテリアデザインを手掛けるほかに、家具、アート、アンティークなどを扱っていて、彼自身も長年にわたるデザインコレクターである。
※「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」は、デンマークの画家であり、作品は、白・黒・灰色を基調として抑えた色調で描画し、時間の止まったような静寂な空気を感じさせる細密なタッチの室内画が中心である。室内風景画の多くには、鑑賞者に背を向けた人物が描かれている。
「オリヴァー・グスタフ」が影響された「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」の絵画のひとつに、「背を向けた若い女性のいる室内 」がある。
「ヴェルヘルム・ ハンマースホイ」の絵画は、大部分は室内風景画であり、1898年から1909年まで暮らしたコペンハーゲン、ストランゲーゼ30番地のアパートの室内を描いたものが多い。
「オリヴァー・グスタフ」は、静謐な空間をつくるために、壁面の塗料をドイツの塗料会社「カイム」社と共同開発して、壁面をグレーにペイントした。
その「ヴェルヘルム・ ハンマースホイ」空間の中に、1983年製作された「フイルップ・スタルク」の「ドクター・ゾンデバー」の椅子を中央に配置した。
そして、壁際には、中国のアンティークチェアを置いた。
「フイルップ・スタルク」の椅子の前に使い古したのようなテーブルを置き、その前に「オリヴァー・グスタク」自身がデザインしたソファーを配置した。
「エル・デコ」によれば、この空間を「グレーで統一した空間の中で時代も地域も超えた審美眼を発揮」と書かれている。
次のショールームは、「時間が止まったような空間の中に、妥協なくしつらえた家具とオブジェ」の空間である。
大理石のテーブルとT字型のパーツの椅子は、イタリア人のデザイナー「アンジェロ・マンギアロッティ」の作品である。
T字型のパーツの椅子は、1978年に「スッキパー」社のためにデザインしたユニークな「トレトレ」ダイニングチェアである。
大理石のテーブルは、1970年に「スッキパー」社のためにデザインされた「エロス」ダイニングテーブルである。
関節やクランプのない組み込み家具の研究から生まれた大理石のテーブルのセットで、「エロス」テーブルの構造設計には、脚自体の切頭円錐部分によって可能とされ、卓上に容易に適合して、プリセット位置でロックする。
今回は、「エル・デコ」2018年8月号、「オリヴァ―・グスタフ」、「フイルップ・スタルク」、「アンジェロ・マンギアロッティ」の各HP、「Wikipedia」他を参考に紹介しました。
☆参考
○「エル・デコ」2018年8月号