茶室の窓その2
今回は、茶室の「床の間」の袖壁や「点前座」の壁に開けた窓を紹介します。
1、獅子垣窓
※「獅子垣窓」は、窓の形式のひとつで、「床」の脇の袖壁の下部を吹き抜いて、竹を破れ格子に組み入れた窓のことである。
「 獅子垣窓」の構造は、床の間の袖壁に壁止の横竹を入れ方立を立てて下部を吹き抜けにして、吹き抜けの中央に晒竹を通す。そして、その左右に長短の晒竹を立て、横桟を貫(ぬき)がわりに入れたものである。
「 獅子垣窓」がある茶室は、鎌倉にある「東慶寺」の「寒雲亭」である。この茶室は、裏千家の「千宗旦」好みである。
2、「風炉先窓 」
※「風炉先窓」は、窓の位置による名称のひとつで、「点前座」の風炉を置く場所の壁面に配置した窓のことである。
「風炉先窓」は、窓の形式としては「下地窓」が多く、高さ一尺八寸、幅一尺四五寸ほどで、畳面から七寸五分ほどの高さに敷居を入れ、窓は隅丸の縁は蛤端に仕上げ、釣棚の方には七寸位を壁にして竹を方立にし、敷居、鴨居には一筋溝を作り、障子は勝手の方に引くようにして、開けたときは窓の半分くらいの引き余りとします。
「 風炉先窓」のある茶室は、京都の「大徳寺」の塔頭のひとつである「高桐院」の「松向軒」である。
3、床窓
※「床窓」は、窓の位置による名称のひとつで、床の間の壁に設けられた窓のことである。
「 床窓」は、古くは「床の窓」「床の内の窓」などと呼ばれ、「床」内の脇壁に開けた「下地窓」をさします。
「床窓」には、「織部窓」、「墨蹟窓」、「花明窓」があります。
3-1、織部窓
※「織部窓」は、「古田織部」が好んだことからよばれた「床窓」のこと言います。
「織部窓」のある茶室は、古田織部が大坂陣に際し京屋敷の茶室を義弟の「藪内家」初代「剣仲」に譲ったとものと伝えられる「薮内家」の「燕庵」である。
3-2、墨蹟窓
※「墨蹟窓」は、窓の位置による名称のひとつで、床の間の内の脇壁に開けられた「床窓」のことで「掛障子」が掛けられている。
「墨蹟窓」は、一般的に外側が廊下などになっている壁に開けので、室内場合は、外側に「掛障子」を掛け、外部に直接面している場合は、内側に「掛障子」が掛けられます。
「墨蹟窓」がある茶室は、京都の「大徳寺」の塔頭の「聚光院」の後ろに建っている「書院」内に作られた「閑隠席」である。
3-3、花明窓
※「花明窓」は、窓の位置による名称のひとつで、床の間の内の脇壁に開けられた「下地窓」の組子に花入を掛ける折釘を打った窓のことである。
「花明窓」に花入を掛けるために打つ折釘は「朝顔釘」といい、釘の先が割れて両側に開くようになっている割足釘で、下地の葭の間に入れた竹を打ち抜いて、外れないように割足釘の先を両側に開いて固定する。
「花明窓」は、床の内には花入を掛けるために、窓の外側に障子が掛けられ、席中から「下地窓」が見える。
「花明窓」のある茶室は、「薮内家」の「燕庵」である。
「床窓」で低い位置に配して、「床」に置いた花入に明かりを当てる明かり窓も「花明窓」と呼んでいる。
今回は、「茶道入門 窓」他を参考に紹介しました。
☆参考