エルディション

エルディションとは、博学の意味ですが、雑学程度の情報の紹介

茶室の窓その4

前回に、引き続き「茶室の窓」の紹介をします。

 

3、「花頭窓」

 「花頭窓」は、上部が尖頭アーチ状の窓のことで、「華頭」、「火頭」、「花灯」、「華灯」、「火灯」、「瓦灯」、「架灯」などとも書かれます。

「 花頭窓」は、禅宗寺院の建築とともに中国から伝わり、唐様建築に多く用いられ、茶席では広間の床脇書院の窓に多く用いられています。

「 花頭窓」は、一般に窓枠は黒漆塗にし、建具は縦の組子の多い細間の「柳障子」とし、窓枠の外側に四枚または二枚引違として建て付けられたものが多く見られる。

「花頭窓」は、「栂尾高山寺」の四畳台目本勝手中柱台目切下座床「遺香庵」にあります。

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高山寺遺香庵の花頭窓

4、「短冊窓」

 「短冊窓」は、縦に細長い長方形の窓のことで、 短冊のように細長いところからこの名があり、狭い壁などに用いられることが多い。

専修寺」の二畳半台目本勝手中板台目切道安囲上座床「安楽庵」では、炉の切られた中板の端と南側に付け下した庇の内に設けた腰掛の間に高さ五尺七寸、幅一尺四寸の窓を開け、紙障子をはめ殺しとしています。 

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安楽庵左写真の左側「短冊窓」、右写真外観

5、「櫛形窓」

「櫛形窓」は、櫛のように下部が水平で上部にゆるやかな丸みをもった山形をした窓のことです。「 櫛形窓」は、欄間や付書院などに設けられます。「 櫛形窓」は、鴨居上の小壁や欄間などに設けられるものは、「欄間窓」、「櫛形欄間」ともいわれ、主として外側は櫛形の下地窓とし、内側は掛障子または一筋溝に引障子としてあります。

「櫛形窓の欄間窓」は、愛知県豊中市にある「日本民家集落博物館北河内の茶室」にあります。

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北河内茶室の「櫛形窓」

「 櫛形窓」は、「小堀遠州」の住した「京都伏見奉行屋敷『鎖の間』」(復元)の床の間にあります。 

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京都伏見奉行屋敷「鎖の間」の「櫛形窓」

6、「猪目窓」

 「猪目窓」は、猪目の形をした窓のことで、ハート形に似た文様のことである。猪の目に似ているところからこの名があるとも、「い」の字の変形したもの、梵字の「い」の字の変化したものなどとも言われいる。 

「猪目窓」は、「金戒光明寺西翁院寺」の「藤村庸軒」好み平三畳本勝手宗貞囲下座床「淀看席」の床の上の小壁にある。

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西翁院の「淀看席」の「猪目窓」

 7、「透窓」

 「透窓」は、窓に建具を用いないで窓そのものが透しとなっている窓のことで、多くは「下地窓」となっています。

「 透窓」は、「南禅寺金地院」の「小堀遠州」好み深三畳台目本勝手台目切風炉先床「八窓席」の袖壁にあります。

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南禅寺の「八窓席」の透窓

窓の形状で呼ばれる「茶室の窓」は、まだまだありますが、引き続き次回で紹介します。

今回は、「茶室の窓」他を参考に紹介しました。

☆参考

○茶室を感じる  ○藤森照信の茶室学  ○吉岡徳仁のガラスの茶室