エルディション

エルディションとは、博学の意味ですが、雑学程度の情報の紹介

建築が気になる世界のデザイン美術館Ⅱ

「エル・デコラ」2018年6月号に「建築もお目当てに!世界のデザイン美術館」の特集記事から、建築を中心に紹介いたします。

前回に引き続き4件の美術館を紹介します。

6、「ガーディアン・アートセンター」 オーレ・シェーレン 2018年予定

設計者の「オーレ・シェーレン」は、「OMA」の北京オフィスの代表を務めて、2010年に独立して北京に事務所を開設した。彼は、「OMA」時代に「CCTV」や「台北パフォーミングセンター」などを手がけたパートナーである。「OMA」は、「レム・コールハース」の設計事務所である。

「ガーディアン・アートセンター」は、中国、北京中心部の「紫禁城」のそばに、2018年に完成予定である。

   f:id:interiorsumai:20180726051740j:plain

「ガーディアン・アートセンター」は、美術館、ギャラリー、オークションハウスなどを含む複合的アートスペースである。上階の外壁には、レンガを模したガラスパネルが使われている。この施設内には、ホテルやイベントスペースもあり、地下鉄駅とも直結している。下層階の外壁にはいくつもの丸窓がある。(オーレ―・シェーンHPより)

7、「ラスコー国際洞窟壁画芸術センター」 スノヘッタ+カッソン・マン 2016年

ランドスケープデザインを得意とする「スノヘッタ」と数々の博物館を手がけてきた「カッソン・マン」による建物は、緩やかな丘陵地帯とヴェゼール渓谷を自然につなぎ、観覧者を先史の世界へ誘うようなデザインになっている。「スノヘッタ」は、1987年に別々に設計されがちな建築とランドスケープを一つの設計過程におさめようというアイデアの下で、ランドスケープ・アーキテクトと建築家が共同作業をするための事務所を設立した。「カッソンマン」は、「ダイナ・キャッソン」と「ロジャー・マン」の二人で1984年に建築事務所を設立した。

「「ラスコー国際洞窟壁画芸術センター」は、2016年にフランス、モンティニャックにオープンした4番目の施設である。

f:id:interiorsumai:20180726052050j:plain

「国際洞窟壁画芸術センター」は、洞窟全体のレプリカを展示しており、先史時代の芸術をすぐ目の前で体験できるようになっている。

f:id:interiorsumai:20180726052220j:plain

ラスコーのレプリカ洞窟「先史時代のシスティーナ礼拝堂」では、実際にその場にいるような感覚を味わえます。(「スノヘッタ」と「カッソンマン」HPより)

8、「デザインソサエティ海上世界文化芸術センター」 槇文彦 2017年

設計者「槇文彦」は、1928年に東京都に生まれ、1952年に東京大学工学部建築学科を卒業し、「丹下研究室」で外務省コンペに携わり、1953年に、「クランブルック美術学院」修士課程を修了し、1954年に「ハーバード大学大学院建築」修士を修了した。「スキッドモア・オウイングス・メルリ(SOM)建築事務所」に入所し、翌1955年から「セルト・ジャクソン建築事務所」で勤務した後、ワシントン大学準教授に就任した。1965年に「槇総合計画事務所」を開設した。

海上世界文化芸術センター」は、2017年に完成した、深圳市蛇口の海上世界エリアの核となる文化芸術センターである。施設としては、美術館・劇場・多目的ホール、文化的活動に関連した商業施設からなっていて、中国初の複合施設である。

f:id:interiorsumai:20180726052329j:plain

周辺がテーマパーク的なエリアになっていて、派手な建築が立ち並んでいる。それだけに、モダニズムをベースにした白い建築がさわやかに映っている。歴史的なコンテクストがないなかで、周辺環境と応答するように、方々に出入り口を設けて、内部を抽象的街並みをイメージした空間をつくっている。

f:id:interiorsumai:20180726052409j:plain

海、街、庭の三方向に開口した施設内には、ロンドンのV&A博物館と提携する中国初のデザインミュージアム「デザインソサエティ」が入居している。(「槇&アソシエィト」HPより)

9、「キング・アブドゥルアズィーズ世界文化センター」 スノヘッタ 2016年

「スノヘッタ」は、1987年にランドスケープ・アーキテクトと建築家が共同作業をするために設立した事務所であるが、社名はドブレ山地の最高峰スノヘッタにちなんで「スノヘッタ・建築ランドスケープ」と名付けられた。

「キング・アブドゥルアズィーズ世界文化センター」は、サウジアラビア、ダーランに2016年に完成した。

f:id:interiorsumai:20180726052452j:plain

サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」が設立した、研究室、図書館、劇場、博物館、美術館などを兼ね備えた「知の塔」で、巨大な岩石を並べたようなユニークな建築デザインは、サウジアラビアの歴史や地質などにインスパイアされたものである。

今回は、「エル・デコ2018.6」、各設計事務所HP他を参考に紹介しました。

☆参考

○スノヘッタ

 

槇文彦